「キン肉マン超人総選挙2017」の総括

「キン肉マン超人総選挙2017」の結果が発表された。
僕は「このマンガがすごい!WEB」の「週刊『このマンガ』B級ニュース」で、今回の総選挙の見どころを4点ほどピックアップした。
  Point1:超人血盟軍の人気は不動
  Point2:悪魔将軍、悪魔超人初の1位なるか?
  Point3:ネメシスの躍進に期待
  Point4:シルバーマン、兄とワンツーフィニッシュなるか?

Poin1から順にみていこう。
超人血盟軍の順位は、キン肉アタル=キン肉マンソルジャーが3位、バッファローマンが7位、ザ・ニンジャが8位、アシュラマンが9位、ブロッケンJr.が10位。超人総選挙2013、2015に引き続き3回連続で超人血盟軍の全員がベスト10入りを果たした。アタルは「完璧超人始祖編」では未登場ながら前回1位だった実績もあり、今回も上位に入ると予想していたが、安定のベスト3入りだ。「完璧超人始祖編」ではアタル以外の4人にシングルマッチがあったものの、アシュラマンだけは勝利できず、あまり見せ場を作れなかったのでどうなることかと思っていたが、取り越し苦労に終わった。負け方が良くなかったが、現在の新シリーズでもさっそく姿も見せ、ファンを一安心させている。ともあれ、この5人のベスト10入りは順当、といったところか。

Point2は、悪魔将軍が見事に1位に輝いた。
「完璧超人始祖編」ではミラージュマン、アビスマン、ザ・マンとシングル3戦を戦い、いずれも勝利を収めている。ミラージュマン、アビスマンとの2戦は「黄金のマスク編」で見せた技で戦っていたのに対し、ザ・マン戦では進化した姿を見せたのが印象的だった。「完璧超人始祖編」では主人公的な中心人物であったため、文句なしの1位戴冠である。

Poin3は、やや意外な結果だった。
ネメシスの順位は36位(2015)から19位(2017)と大幅にアップしているが、個人的にはベスト10入りもあると予想してだけに、いまひとつ物足りなさを感じる。ロビンマスクとラーメンマンに勝利し、正体が判明し、キン肉マンと死闘を演じ……とトピックは多かったが、対ロビン戦やラーメンマン戦で見せた非情な姿が受け入れられなかったか。個人的には、スーパー・フェニックス(知性の神付き)とのシングル戦が見たい。

Point4は、さすがにワンツーフィニッシュはならなかったが、シルバーマンは6位と大健闘。前回54位からの大躍進だ。一応、物語的な役割は果たしてしまったので、今後の再登場はあまり期待できないが、ニャガニャガとの戦いで見せたアロガント・スパークはたしかにインパクト大であった。

ベスト10のうちシルバーマンを除く9人までが、前回順位が一桁であった。長寿シリーズ特有の、人気の固定化が顕著になった一方で、シルバーマンや悪魔将軍の躍進など、現行シリーズの動向が少なからず反映された。1人3票という投票システムがうまく機能した結果といえるだろう。
特にキン肉マンは、「完璧超人始祖編」ではピークア・ブー戦とネメシス戦と2試合しか行っていない。全シリーズを通じて最少の試合数にもかかわらず、総選挙では過去最高順位(2位)をマークした。わずか2戦ながら、王として説得力ある戦いを見せてくれたと、誰もが納得したといえる。

1960年生まれのキン肉スグルは、作中時間設定(1989年)では29歳。人間と超人を同一視はできないが、レスラーのもっとも脂の乗った時期は30代半ばから40代前半だ。いまなら棚橋弘至や内藤哲也などがこれに該当する。スグルはオカダ・カズチカ(2017年時点)と同い年で、「確かに強いけど全盛期はまだ先」といった年齢設定。言い換えるなら、われわれ読者はまだスグルの全盛期を見ていない。いよいよ全盛期に差し掛かる新シリーズでは、さらに濃い試合内容が期待される。
大きく順位を下げたのはテリーマン(前回10位→今回18位)。まあ、テリーはシングルだといまいちハネないので、タッグなら人気復活は容易かと思われる。

新シリーズ予想

さて、「超人始祖編」では、超人の起源、カピラリア7光線、超人墓場、金と銀のマスク、天上兄弟喧嘩を裁いた裁きの神、肉のカーテン秘話、キン肉族の闇と、かつてのシリーズで断片的に語られたエピソードを伏線として回収した。いわば過去との対話がなされてきたわけだ。設定部分で残る大きな謎は、あとは大魔王サタンの存在くらいだろう。新シリーズでは、さっそく大魔王サタンが登場しているあたり、さすがに痒い所に手が届く。

ただ、過去の設定に対する言及があらかた済んだ以上、今シリーズは未来との対話……つまり『キン肉マンⅡ世』に向かっていくのではないかとも予測できる。もちろん、『Ⅱ世』を「作品設定は同じだが続編ではない」と位置付けることも可能(例:『シティーハンター』に対する『エンジェル・ハート』、『BANANA FISH』に対する『YASHA-夜叉-』など)だし、個人的にはそれでも構わないのだが、『Ⅱ世』に向けて整合性を整えていくストーリーとして考えた場合、現行シリーズがどうなるかの予想が成り立つ。『Ⅱ世』までにやらなければならないこととしては、
  ・ロビンマスクの復活(のちヘラクレス・ファクトリーの校長)
  ・バッファローマンのベビーターン(のちヘラクレス・ファクトリーの教官)
  ・アシュラマンのベビーターン(正義超人となって結婚し息子シヴァが生まれる)
  ・悪魔将軍の封印
  ・悪魔超人軍の壊滅(サンシャインが残党を指揮)
  ・アタルがニンジャと超人警察隊(アンタッチャブル)を結成
 そう考えると、まず第一に超人血盟軍の再結成がもっともしっくりくると思うのだが、どうだろうか。ロビン復活には、ネプチューンマンに一枚噛んでほしいという願望もある。また、全盛期を迎えるスグルとアタルのシングルマッチ、あるいはアタルvs悪魔将軍など、見たいカードを挙げたらキリがない。個人的には、同門対決(正義超人vs正義超人、悪魔超人vs悪魔超人)みたいなカードも熱いと思う。ちょうどG1クライマックスの始まる時期だし。

困難になってしまった『キン肉マン』世界でのターン

というわけで、今シリーズではベビーターンが大きなカギとなる、と予想する。
プロレスの世界では、ベビーフェイス(善玉)とヒール(悪役)の役割分担が明確だ。ベビーフェイスは凶器攻撃や反則をしない、乱入をしない。しかし、アングル(ストーリー)によって役割を変更することがある。ベビーフェイスからヒールへの転向を「ヒールターン」、反対にヒールからベビーフェイスへの転向を「ベビーターン」と言う。蝶野正洋のヒールターン(nWo結成)などがわかりやすい例だ。『キン肉マン』では、残虐超人からアイドル超人に転向したラーメンマン、悪魔超人から正義超人に転向したバッファローマンがベビーターンで、「完璧超人始祖編」で再び悪魔超人となったバッファローマンはヒールターン、というわけだ。

現実のマット界でもターンを成功させるのは困難だが、「完璧超人始祖編」を3属性(正義、悪魔、完璧)の「イデオロギー闘争」と位置付けた以上、いままでのように簡単にターンはできなくなっているのが気がかりだ。プロレスの「軍団抗争」レベルの話なら、引き抜きやターンもあり得るが、なにしろ3属性はただの所属をあらわすものではなく、自分たちの起源までさかのぼるイデオロギーとなったからには、それを捨てるのはそれまでの人生を捨てることと同義であり、なまなかなことではターンに説得力を持たせることが難しく、また実行に際しては大きな痛みを伴う。事実、「完璧超人始祖編」ではあれだけの戦いを繰り広げながら、ひとりとしてターンをしていない。ピークア・ブーはあのまま正義超人になるかと思いきや、最後は完璧超人としての立場を貫いた。ネメシスも、スグルの呼び掛けには応じず、完璧超人であり続けた。
ターンにまつわる困難さを、どういった手段で克服してくるか。今シリーズはそこに注目したい。
まあ、カツラを取って坊主になる、ってのも好きだけど。